脳のしくみを利用して目標を立てよう
近隣の中学校は定期テストが終わった所ですが、次のテストは9月始めにあります。
「まだ1ヶ月以上もあるじゃないか?」と思われるかもしれませんが、夏休みが終わったらすぐテストなのです。
先日のテストの結果を踏まえて次のテストの目標を立て、それに向かって進んでほしいですが、今日はその目標の立て方について書いていきたいと思います。
よくテスト前、生徒の皆さんに「今回のテストの目標は?」と聞くと、答えが2パターンに分かれます。
「5教科の合計◯点以上、学年順位は△番以内を目指す」
「ワークを繰り返し解いて、英語で過去最高得点を取る」
のように具体的な目標が1つ目のパターンです。
しかしその一方で、
「テスト勉強中、スマホはなるべく見ないようにする」
「これ以上、テストの点数が下がらないようにする」
のように、「~しないようにする」というネガティブな目標になっているのが2つ目のパターンです。
どちらのパターンの目標がうまくいきそうだと思いますか?
脳のしくみを体感してみよう!
いきなりですが、今から指示することをやってみてください。
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パンダを想像しないでください。
どうでしたか?
一瞬でも頭の中にパンダが浮かんでしまったのではないでしょうか?
脳は否定語を理解できない
「パンダを想像しないでください」と聞いた時、脳の中では何が起きているかというと・・・
①パンダを思い浮かべる
②パンダを消去する
心理学では「脳は否定語を理解できない」と言われています。
脳のしくみからして否定語を理解することができないそうで、否定語を一旦肯定語で置き換えているということです。
「パンダを想像しない」のに、結局パンダをイメージしてそれを消去するという2段階の作業をしています。
ということは、最初に書いたような否定語が入った目標を立てると…
「テスト勉強中、スマホはなるべく見ないようにする」
→つい勉強中にスマホを触ってしまって、時間をムダにしているイメージをしてしまう
「これ以上、テストの点数が下がらないようにする」
→良くない点数を取ってしまい、がっかりするイメージをしてしまう
脳はイメージされたものに引っ張られるので、結局は良くないイメージをしてしまうということです。
否定語を使った実験
ここで否定語が及ぼす効果を検証した実験を紹介します。
この実験では数十組の親子を集めて全体を2グループに分け、子供に多めに入れたお茶がのったお盆を運んでもらいます。グループごとに母親には異なる声かけをしてもらいました。
パターン①「こぼさないように運んでね!」
パターン②「しっかり持って運んでね!」
この2パターンで声かけをした実験結果は明らかでした。
・パターン①の声かけをされた子供の50%が運んでいる最中にお茶をこぼしてしまった
・パターン②で声かけをされた子供はたった20%しかお茶をこぼさなかった
パターン①の「こぼさないように運んでね!」と声かけされた子の脳の中では、「自分がお茶をこぼすイメージ」→「消去」という工程をたどるので、頭には一瞬でも失敗する映像が浮かぶのです。
そして脳はそのイメージ通りに行動しようとするのです。
逆にパターン②の「しっかり持って運んでね!」と声かけされた子の脳の中では、「しっかりお盆を持っている自分の姿」をイメージできるので、失敗の確率を低下させることができるのです。
目標がうまくいくコツは「肯定的で具体的」に!
この実験から分かることは「人は否定語を行動してしまう」ということです。
「~しないようにする」という目標を立てると、脳がそれに近づこうとして、いい結果が得られないことになります。
目標は「~しない」ではなく「~する」のほうがよいのですね!
・「テスト勉強中、スマホはなるべく見ないようにする」ではなく、
「テスト勉強中、スマホは音を切ってかばんの中に入れて勉強に集中する」
→頭の中に浮かんだ自分の勉強する姿には、スマホがないはずです
・「これ以上、点数が下がらないようにする」ではなく
「前回の点数以上を目指す」
→テストが返されたとき、点数が上がって喜んでいる自分がイメージできます
なりたい自分のイメージを思い浮かべ、「~する」という目標を立てて、それに近づこうとする脳のしくみを利用しましょう!