今と昔でこんなに違う!公立中学校の成績のつけ方
前回のブログに引き続き、内申点のお話を書きたいと思います。
今年度は1学期の終業式に通知表はもらわないかもしれませんが、通知表の結果は誰でも気になりますよね。
公立中学校の成績のつけ方について、現在中学生の生徒・生徒の保護者の方だけでなく、これから中学生になるお子様をお持ちの保護者の方にもぜひ知っていただきたい内容です。
なぜオール3は真ん中ではないのか?
前回のブログ「内申点の大切さ」で「通知表のオール3が取れていても真ん中ではありません」と書きました。
公立中学校の科目は主要5科目+実技4科目=合計9科目あり、それぞれに5段階で評定がつきます。
5段階で3だとちょうど真ん中の数字になるので、「3は普通(平均)の評定」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それは学校の成績のつけ方が「相対評価」だった頃の話です。
昔の成績のつけ方は「相対評価」
(今と区別するため「昔」と書いていますが…今から約20年前までのことになります)2002年ごろまで、公立中学校の成績は「相対評価」で行われていました。
相対評価では「周りと比べて出来るかどうか」で評価されます。
生徒を成績順に並べて、
・評定5を生徒数の7%につける
・評定4を生徒数の24%につける
・評定3を生徒数の38%につける
・評定2を生徒数の24%につける
・評定1を生徒数の7%につける
という方法で評定を決めていました。
この相対評価だと、5と1はレアであり、3は約4割近くいることになるので、昔の相対評価では「3は普通(平均)」と言えます。
とても分かりやすいようですが、この相対評価には問題がありました。
例えば、自分の点数が80点でも周りがみんな90点以上だったら、自分は周りよりも低いことになり評価は2や1になる可能性がありました。
逆に、周りが出来ていなければ50点しか取れていなくても5になる可能性もありました。
それでは不公平だという意見や、そもそも学習の評価は周りと比較するものではないという考えが採用され、2002年度の成績から「絶対評価」が使われるようになりました。
今の成績のつけ方は「絶対評価」
絶対評価では「生徒が各教科の目標に対してどれだけ実現できたか」が基準となります。
これは人数に関係なく各教科の基準に対する到達度に応じて、生徒一人ひとりの評定を決める形となっています。
(極端な話ですが、全員5がついても良いのです)
学校や先生によっても異なりますが、例えば以下のようにテストの点数に応じて評定が決まります。
・評定5→90~100点
・評定4→80点~90点
・評定3→40点~80点
・評定2→20点~40点
・評定1→0点~20点
また、絶対評価ではテストの点数だけでなく、授業態度や提出物も評定の要素となります。
テストが85点でも提出物を提出していなかったり授業態度が悪ければ3になったり、逆にテストが75点でも提出物の出来や授業態度が良ければ4になる場合もあります。
絶対評価と相対評価の割合を比べてみました
それでは、絶対評価に変わった結果、評価の割合は相対評価の時と比べてどうなったでしょうか?
先日千葉県が調査した結果が発表されました。
以下の表(数字は%)は令和2年度千葉県の中学3年生(2020年3月卒業生)の成績分布表です。
評定5 | 評定4 | 評定3 | 評定2 | 評定1 | |
国語 | 17.2 | 25.6 | 43.2 | 11.1 | 2.9 |
社会 | 21.0 | 25.3 | 38.0 | 12.4 | 3.3 |
数学 | 19.1 | 27.7 | 35.4 | 14.4 | 3.4 |
理科 | 20.0 | 25.7 | 39.4 | 11.7 | 3.2 |
英語 | 21.1 | 22.3 | 38.3 | 15.0 | 3.2 |
(相対評価) | 7.0 | 24.0 | 38.0 | 24.0 | 7.0 |
参考:千葉県教育委員会ホームページhttps://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shidou/press/2020/koukounyuushi/documents/r2cyousasyohyouteicyousakekka.pdf
教科によりますが、相対評価のころに比べて1と2の割合が減って3と5の割合が増えていることがわかります。
上の表を見ても、各教科とも5と4の割合の合計が約半数になっているので、平均より上の人は4か5ということになります。
よって、今の絶対評価では「3は平均より上の人もいるが、平均より下の人が多い」と言えます。
千葉県公立高校入試の内申点の計算方法
1年次の「学年成績(9教科)」+2年次の「学年成績(9教科)」+3年2学期までの「学年成績(9教科)」=内申点
3年間の内申点が
オール5→評定5×9教科=45×3年分=135点
オール4→評定4×9教科=36×3年分=108点
オール3→評定3×9教科=27×3年分=81点
オール2→評定2×9教科=18×3年分=54点
オール1→評定1×9教科=9×3年分=27点
のように、27~135点になります。
下のリンクは千葉県教育委員会のHPで、東葛飾教育事務所内(松戸市・野田市・柏市・流山市・我孫子市・鎌ケ谷市)の各中学校の3年生の内申点平均が分かります。
https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shidou/press/2020/koukounyuushi/020701gakushuuseisekibunnpuhyou.html(↑現在はリンク切れとなっています)
このページ内の松戸市内の中学校(合計20校)の内申点平均を出してみたところ、92.35でした。
これは3年間の内申の合計なので、3年間でわると1年あたりの内申点は約30で、30÷9教科=3.3、
つまり受験生の平均内申点はオール3以上ということになります。
今の絶対評価だと自分の位置(偏差値)が分かりづらい
絶対評価では教科ごとの到達目標がいくつか設定されており、達成している数が多ければよい成績がつきます。
ただ、全体の中の自分の位置(いわゆる偏差値)がわかりづらいという問題点があります。
昔の相対評価では各評定の割合が決まっているため、以下のような目安がありました。
・相対評価の5→偏差値65以上
・相対評価の4→偏差値55以上
・相対評価の3→偏差値45~55
・相対評価の2→偏差値35~45
・相対評価の1→偏差値35以下
例えば「通知表がオール3だから偏差値50前後」と予測することが出来ました。
オール3の偏差値ってどれくらい?
では、今の絶対評価でオール3だと、偏差値はどのくらいにあたるのでしょうか?
オール3の偏差値がいくつになるのかは、はっきり決まっているわけではありません。
そこで総進もぎテスト(Sもぎ)のデータから、オール3の偏差値を推測してみました。
千葉県公立高校入試の内申点で3年間オール3だとすると81になると先ほど説明しました。
そこでプリモの近隣の高校(第2・3学区)から、内申点の合格基準が81前後で合格可能性60%以上の高校の偏差値を並べてみました。
A高校 内申点85 偏差値43
B高校 内申点81 偏差値43
C高校 内申点81 偏差値41
オール3だと偏差値は40前後(40~45)と考えられます。
では偏差値50前後で合格可能性60%の高校の内申点を並べてみました。
C高校 内申点98 偏差値52
D高校 内申点96 偏差値51
E高校 内申点96 偏差値50
偏差値が50前後だと必要な内申点は96ということになります。
96は3年間分の内申点なので3で割ると1年あたりの内申点は32
32÷9教科=3.55…(1教科あたりの評定)
つまり偏差値50の高校を受験するためには、各教科平均して3と4が半分くらいずつ必要ということになります。
ちなみに公立高校だけでなく、プリモ近隣の私立高校の偏差値と推薦基準も調べてみました。
F高校 併願推薦基準 3年2学期の5教科内申合計17 偏差値47
G高校 併願推薦基準 3年2学期の5教科内申合計18 偏差値50
(この2校は、5教科で3だけでなく4がいくつか必要)
H高校 併願推薦基準 3年2学期の9教科内申合計26 偏差値40
(9教科オール3だと内申合計27)
公立中学校の内申点平均が上がってきていることを受けて、私立高校は推薦基準を上げているのが毎年の傾向です。
通知表で4を取るために
今の成績のつけ方だとオール3は平均(真ん中)ではないことが分かりました。
平均になるためには4がいくつか必要です。
それでは4を取るためにはどうしたらよいでしょうか?
・定期テストで80点を目指す
・授業中に指名されたらしっかり答える、手を挙げて自主的に答える、授業態度を良くする
・ノートやワークなどの提出物を丁寧に仕上げ、期限までにしっかり提出する
普段の生活も大切ということです!
いきなり4は難しいかも…という人は
自分はいまオール3だという人は、何か好きな科目から頑張って4を1つでも多く取れるように頑張ることから始めてみましょう。
でも、頑張って4にしたいけどいきなりは無理…と思った人は、まず「平均点越え」を目標にしてみましょう。
実際、3には幅があります。
定期テストで「40点で3」の人もいれば「70点で3」の人もいます。
同じ3でも、定期テストで「70点の3」であれば平均点よりも上の点を取っていることになります。
テストで平均点よりも上ならば、3でも「4に近い3」と言えます。
その場合、内申点が低くても入試の点数でカバーすることが出来ます。
オール3は真ん中ではないと書いてきましたが、もちろん内申点がオール3で偏差値50周辺の学校に合格している例はたくさんあります。
こういうケースは「オール3でも定期テストの点数は平均点よりも上」という人が受験して合格しているのです。
最後にまとめです!
・昔の相対評価の「3」は今の絶対評価の「4」に近い
→よって今の絶対評価のオール3は真ん中(平均)とは言えない
・昔の相対評価でオール3は偏差値50前後
・今の絶対評価のオール3は偏差値40~45と考えられる
・偏差値50が合格基準の高校を受けるならばオール3に「4」がいくつか必要
ということで、得意な教科は4以上を目指し、苦手な教科は「テストで平均点越え」で3を目指してみましょう!
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内申点の大切さ
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中学校の通知票で「3」は真ん中とは言えません
https://primo-school.com/blog/howto_study056.html
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2020年07月05日 18:19